子どもの急な体調不良に慌てない!知っておきたいホームケア【医師監修】

子どもの急な体調不良に慌てない!知っておきたいホームケア【医師監修】

子どもの体調不良やケガへの対応は、初めてのことも多く、戸惑う親御さんも多いのではないでしょうか。ここでは、子どもによく見られる体調不良の症状から、高熱、せき、嘔吐、下痢など、症状ごとに異なるホームケアについて、小児科医が解説します。

JA愛知厚生連 豊田厚生病院 副院長兼小児科代表部長 梶田光春医師

1984年、名古屋大学医学部卒業。同年、医師免許取得。2000年10月よりJA愛知厚生連 豊田厚生病院に勤務し、2015年4月、副院長に就任。専門は先天代謝異常症、小児神経疾患。名古屋大学医学部臨床准教授、および愛知医科大学客員教授も務める。医学博士。

子どもの高熱

一般的に発熱というのは、乳児・幼児の場合、37.5℃以上の状態を指します。体温が上昇するのは、体内に入ったウイルスや細菌を撃退するためであり、身体の防御反応なのです。

高熱が出た時の家庭でのケアとしては、出来るだけ子どもを隔離し、安静にさせること。そして水分と栄養の補給が先決です。

熱が出ると、真っ先に冷やすことを考えがちですが、実は熱の出始めは寒気がする場合があるので、そういうケースでは身体を温めてあげましょう。熱が上がりきって体が熱くなってきたら、部屋を涼しくして薄着にさせて、様子を見ます。

冷やす時には、首の後ろ、ももの付け根、脇の下など太い血管がある部位を。解熱剤は、体温が38.5℃以上あり、ぐったりしている時に使いましょう。

1つでも当てはまったらすぐに医療機関・医師に相談を!

  • 生後3カ月未満である
  • ぐったりとして元気がない
  • 1日中、うとうとしている
  • 尿量が少ない
  • 水分を摂らない
  • 呼吸が苦しそう
  • 呼びかけに反応しない
  • 顔色が悪く、唇の色が青い
  • けいれんしている
  • 強い腹痛を訴えている

子どものせき

せきが出る時には、主にウイルスによる風邪のほか、高熱が続く場合には細菌、マイコプラズマによる気管支炎、肺炎などが疑われます。また、気管支ぜん息の可能性も疑われます。

せきは、痰やウイルスなどの異物を外に出そうとする反射ですが、子どもはせきで上手に異物を出すことが出来ず、症状が長引くこともあります。

家庭で出来るケアとしては、まず加湿器などで室内の湿度を上げること。ほかには、家の中で絶対にたばこを吸わないこと、水分補給をしっかりすることです。

市販のせき止めを使用する際は、医師の指示に従うようにしましょう。

1つでも当てはまったらすぐに医療機関・医師に相談を!

  • 声がかすれ、強くせき込む
  • 胸部からゼーゼー、キューキューという音がする
  • 息苦しそうに見える
  • 39℃以上の熱がある
  • 呼吸が浅くて速い
  • 顔色が悪い
  • 唇の色が青い

子どもの嘔吐

嘔吐の原因として多いのは、感染性胃腸炎です。感染性胃腸炎には2種類あり、1つはロタやノロなどのウイルス性、もう1つはサルモネラなどの細菌性です。ほかには胃腸炎以外の感染症、髄膜炎、自家中毒などの可能性があります。

家庭では脱水症状に注意し、経口補水液などでこまめに水分補給をしましょう。ただし、1度にたくさんの水分を摂ると嘔吐してしまうこともあるため、1口ずつ飲むようにしましょう。

感染症が疑われる時には、家庭内汚染防止のため、吐いたものが付いたすべての衣類をビニール袋に入れて密封。石けんでの手洗いおよび消毒用アルコールなどで除菌も行いましょう。

※石けんや消毒用アルコールは製品の注意書きに従って使用してください

 

1つでも当てはまったらすぐに医療機関・医師に相談を!

  • 5、6回以上嘔吐が続く
  • ぐったりとして元気がない
  • 便に血液が混じる
  • お腹が張って、お腹を押すと痛がる
  • 尿量が少ない
  • 血液や緑色の液体を吐く
  • 頭痛がある
  • 唇が乾燥している

子どもの下痢

下痢を起こす原因の多くは感染性胃腸炎ですが、アレルギーなどに起因することもあります。

下痢が続くと水分はもちろんミネラルも身体から失われてしまうので、経口補水液などでこまめに水分補給をすることが大切です。また嘔吐の時と同様、感染症が疑われる場合は、衣類や便が付着したものはすべてをビニール袋に入れて密封するなど、家庭内汚染防止に努めましょう。

1つでも当てはまったらすぐに医療機関・医師に相談を!

  • ぐったりとしてだるそう
  • 便に血液が混じる
  • 強い腹痛がある
  • 水分が十分に摂れない
  • おしっこが出ない
  • 目がくぼむ
  • 唇が乾燥している

最後に

子どもの病気は状況によって、また症状の原因によっても対応が異なります。家庭でのケア方法に迷った時は、医療機関や行政が設置している子どもの医療に関する相談窓口に問い合わせをして相談しましょう。

イラスト:竹内舞/文:花野静恵


この記事は「頼れる病院・クリニック2022-2023」(ゲイン刊)に掲載された記事をもとにしています。掲載内容は取材時のものです。

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