腸活で「強い心」をつくる! 腸内環境とストレスの関係とは?【専門家解説】

腸活で「強い心」をつくる! 腸内環境とストレスの関係とは?【専門家解説】

仕事や家事、子育てなど、忙しい生活の中で、ストレスを抱えている人も多いのではないでしょうか。ストレス自体をなくすことは出来なくても、「ストレスの感じ方」は、自分でコントロールできるかもしれません。最近の研究では、ストレスの感じ方は腸内環境に左右されていることが分かってきたそうです。

今回は、管理栄養士の小川静香さんに、腸内環境とストレスの関係、そして、「強い心」をつくる腸活について教えてもらいました。

管理栄養士・公認スポーツ栄養士・博士(医学) 小川静香(おがわ・しずか)

大学院時代にトライアスロンを始め、日本で最も長い距離の大会「佐渡国際トライアスロン大会」で女子総合優勝をした経験から、スポーツ栄養の重要性を感じ、アスリートへの栄養サポートを実施。腸内環境を専門的に学び、腸内細菌検査サービスなどを展開する企業「サイキンソー」 で栄養セミナーなども行っている。

腸内環境とストレスの関係

ストレスでお腹が痛くなったり、お腹の調子が悪くて気分が悪くなったりした経験はないでしょうか。「脳腸相関」とも言われるように、脳と腸は相互に影響を与え合っています。腸内環境と脳はつながっており、さらに心にも大きな影響を与えています。

怒ることを「腹が立つ」、猛烈に怒ることを「はらわたが煮えくり返る」、陰険で意地が悪いことを「腹黒い」、物事に動揺しないことを「腹がすわる」など。「腹」を使って、心の状態を表現する日本語は多く、昔から「腹と心は関係がある」と考えられていたのかもしれません。感情は、お腹から湧き出てくるものとも言い換えられそうですね。

腸内細菌の役割とは?

人間の腸内には約1000種類、100兆個もの腸内細菌が生息しており、これらが多種多様な腸内細菌の集まり「腸内フローラ」(腸内細菌叢・ちょうないさいきんそう)を形成しています。

以前は腸内細菌に関して、体にいい影響を与える「善玉菌」、悪い影響を与える「悪玉菌」、そのどちらでもない中間の菌の3種類に分けられ「善玉菌を増やしましょう」と言われていました。最近では、さまざまな種類の菌が存在する状態、つまり、「菌の多様性」が大切だと言われるようになっています。

多様性のある腸内細菌叢で育児ストレスから回復

京都大学や大阪大学などが共同で行った研究(※)では、0~4歳の乳幼児を育てる母親が抱える育児ストレスに対して、どのようにレジリエンス(回復力)が働くかを検証しています。腸内細菌叢が自律神経や身体運動機能とどのように関連するかについて調べたところ、育児ストレスの高い母親は、腸内細菌叢の多様性も低いことが明らかになりました。

このことから、腸内細菌叢と育児ストレスの関連性が明らかになり、ストレスと腸内環境は影響していると言えるでしょう。

腸活で「菌の多様性」を!

強い心をつくり、心身ともに健康でいるためには、腸内環境を整えることが大切です。そのためには、腸内の「菌の多様性」を意識しましょう。

腸内環境を整える腸活が流行っていますが、腸活には、いい菌をとり入れて育てる「プラスの腸活」と悪い菌を体に入れない「マイナスの腸活」があります。

プラスの腸活

発酵食品などの有用菌(人に有益な働きをする腸内細菌)を摂取することを「プロバイオティクス」、その有用菌を育てるエサとなるオリゴ糖や食物繊維などを摂取することを「プレバイオティクス」と言います。

     【プロバイオティクス】
  • 代表的な菌:納豆菌、乳酸菌、ビフィズス菌、麹菌
  • 含まれる食材:納豆、キムチ、チーズ、ヨーグルト、みそ、ぬか漬けなど
     【プレバイオティクス】
  • 代表的な栄養素:オリゴ糖、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維、レジスタントスターチ
  • 含まれる食材:豆類、きのこ類、いも類、海藻類、こんにゃく、野菜、果物、雑穀など

さらに、プロバイオティクスとプレバイオティクスを同時にとり入れることを「シンバイオティクス」と言い、これが「プラスの腸活」につながります。腸内環境は、数日、数週間かけて変わっていきます。少しずつでもいいので、「シンバイオティクス」を意識した食事を心掛けましょう。

マイナスの腸活

プラスの腸活も大切ですが、悪い菌を体に入れない「マイナスの腸活」も重要です。

口の中の常在菌が、腸内に住みつき、それが悪い菌として作用することが分ってきました。悪い菌を腸に取り入れないようにするために、例えば、寝起きに歯みがきやうがいをすることもその1つ。寝ている間は唾液の分泌が少なくなるため、口の中で細菌が増殖します。朝起きて、そのまま飲み物を飲んだり、朝食をとったりすると、大量の細菌を体にとり込んでしまうことになります。

また、唾液には抗菌作用があるため、よく噛んで、唾液をたくさん出すことも腸内環境の改善につながりますよ。

最後に

今回は、ストレスへの対応に食事中心の腸活についてお話ししましたが、日頃から適度な運動を心がけ、しっかり睡眠をとることも大切です。腸内環境を整えることは、ストレスに強い心をつくります。腸が心地よいと、自然と顔の表情も良くなりそうなのは想像できますよね。腸活を意識して、毎日を笑顔で過ごしてください。

聞き手・文:きずなネットよみものWeb編集部

※参考:腸内細菌叢が母親の育児ストレスや心身のレジリエンスに関連する」(京都大学ホームページ)

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